導入事例紹介

case study

東京都日野市様

24時間365日「バスの全乗降者数×全運行データ」を、運転手の操作なしで自動収集!データに基づく路線再編施策を支援

~ 運行状況調査レポートサービス「MANALYZE(マナライズ)」で自治体の交通課題をデータ化・可視化・分析サポート ~

日野市ミニバス
東京都日野市では、路線バスが行き届かないエリアを補う交通手段として、市内連絡バス「ミニバス」を運行しています。少子高齢化や人口減少が進み、交通需要がますます複雑化・多様化する中で、日野市は持続可能な公共交通網の再構築に取り組んできました。市民のより豊かな生活を実現するためにも、生活のインフラ整備は重要です。まずはミニバスの現状を、正確かつ明確に把握する必要があります。しかし、従来の人の力に頼る調査には限界があり、より効率的で網羅的なデータ収集システムを導入する必要がありました。

そのニーズに合致したのが、株式会社ユニ・トランドが開発・提供する乗降センサーと連携した運行状況調査レポートサービス「MANALYZE(マナライズ)」です。「MANALYZE」は乗降センサーと連動して24時間365日の自動収集で、系統・便・バス停留所ごとの運行データや乗降データを蓄積します。地図やグラフによる可視化も容易で、さまざまな分析や議会報告用の資料作成をサポート。日野市の交通課題解決を側面から支援しています。本記事では、日野市の課題と「MANALYZE」の導入の背景や活用効果などについて、導入状況の確認をもとにユニ・トランドがご紹介します。
▶▶▶POINT
  • 「全乗客の乗降データ×全路線の運行情報」を24時間365日リアルタイムで自動収集
  • 現場での操作は一切不要!運転手が安全運転に集中できる環境を実現
  • 構築したデータはダウンロード後、すぐ資料に使える形で3パターンの出力が可能
■ミニバス7路線の「全乗降者数×全運行データ」統合的把握が課題

-「MANALYZE」導入に至る課題や背景

日野市では、路線バスが行き届かないエリアを補完する形で、市内連絡バス「ミニバス」を運行しています。駅から離れた住宅地や丘陵地、公共施設、医療・商業拠点などを細やかに結ぶ、市民にとっては重要な生活インフラです。しかし、少子高齢化や人口減少に伴い、交通需要は複雑化・多様化。変化するニーズに応えていく上で、まずはミニバスを取り巻く現状を正確に把握する必要がありました。

同市ではすでにICカードシステムを導入しており、ICカード利用者のOD情報(※)は把握できていました。しかし、現金や東京都が70歳以上の都民に提供する「シルバーパス」を利用する方のデータ収集は不十分です。一部ではなく、すべての乗客の乗降情報を含めた、詳細で正確なデータ構築が課題の一つとなっていました。

※OD情報とは
バスにおける「OD情報」とは、利用者がどのバス停留所で乗車(Origin)し、どこで降車(Destination)したかというバス停留所ペア(ODペア)と、その移動量を指します。集計したOD情報(OD表)は、ダイヤ編成や路線再編、バス停留所配置の検討など公共交通計画の基礎データとして活用されます。

「MANALYZE」導入前は地域公共交通計画の策定や見直しの都度、調査員を雇用していました。調査員が1週間程バスに同乗し、手作業で乗降者数をカウントするという、期間限定的なスポット調査です。しかし、この手法では季節や曜日による変動を正確にとらえきれません。すべてのバスに同乗できる調査員を長期にわたって雇用するのも、人材確保やコスト面から難しい状況でした。

バスの利用に関しては、長期スパンで正確にとらえたデータが必要です。しかし、従来の手法ではデータの再現性や網羅性に限界があり、足りない部分はどうしても経験や勘に頼らざるを得ません。
より精度の高いデータ収集方法
、かつ抜本的な対策を求めて入札を実施した結果、ユニ・トランドの乗降センサーと「MANALYZE」の導入に至りました。

■運転手の操作不要で24時間365日の「完全自動データ収集」

-「MANALYZE」評価のポイントと導入への期待

同市が求める条件には複数の要素がありました。

◎日野市が求める主な要件(抜粋・要約)

(1)目的
市内連絡バス7路線の利用実態把握のため、バス停留所ごとの乗客数を把握する乗降センサーを運用できるよう、システム環境を整備すること

(2)要件・内容
・車内に設置でき、ミニバス運行に支障をきたさない大きさであること
・バス停留所の通過判定にはGPS情報に加え、音声合成装置と連動してバス停留所の到着と出発判定を行うこと
・ 運転手の操作、調整等が必要ないこと(ミニバス起動時に連動して起動し、自動的に系統や便を割り当てるシステムであること)
・運行管理システムをWeb上で確認できること
・乗降データは可視化可能で、Excelやcsvデータでも出力できること など

最も重要なのは、現場の負担を増やさないことです。運転手がこれまでどおり安全運転に集中できる環境を維持することが、何よりも重要なポイントでした。比較検討したシステムの大半は、運転手によるタブレット操作など、運転手に何らかの作業が発生します。一方で、ユニ・トランドのシステムでは、運転手はバス停留所をアナウンスするボタンをいつもどおりに押すだけ。後は音声合成装置に連動した車載器が、乗降センサーのデータを自動的に送信します。そこで収集・構築されたデータを「MANALYZE」が可視化する仕組みです。

課題だったデータの再現性や網羅性という点においても、24時間365日のデータが自動収集で構築可能です。他の自治体でも導入実績があり、知見やノウハウが豊富なことも評価の一つとなりました。

-導入時の状況・課題について

導入はスムーズに進み、約2ヵ月で16台のミニバスに機器を設置完了。設置作業は営業終了後の夜間に実施したため、運行への影響も最小限に抑えられました。基本的にはバスの中に機器が増えただけなので、運転手への説明も「今までどおりで大丈夫です」というシンプルな内容です。その後も大きなトラブルはなく、安定的に運用されています。

■バス停留所での乗降状況や運行データを「データ化・可視化」し、分析をサポート

-乗降センサーと「MANALYZE」の具体的な活用・運用方法

システム全体の概要は、下記のとおりです。

(1) バス車内に設置された専用車載器と乗降センサー(カメラ方式)で、バス停留所の乗降人数を自動カウント
(2) (1)の情報をバスの系統情報と紐づけてクラウドに随時送信
(3) 蓄積された(2)のデータを「MANALYZE」で可視化

運転手は通常の業務として、バス車内の音声合成放送装置で系統と便を選択し、送信ボタンを押します。これは従来から行っていた「次はAバス停留所です」といったアナウンスを流すための操作です。「MANALYZE」は、この音声合成放送装置と連携しており、運転手の操作情報を5秒に1回、自動でサーバーに送信します。運転手にとっては追加の操作が一切なく、いつもどおりの業務を行うだけで乗降データが自動収集される仕組みです。


カメラセンサーで乗降者数を自動カウント

収集されたデータは、運行翌日にはダウンロードできるため、タイムリーな状況把握が可能になりました。系統ごと、便ごと、バス停留所ごとの細かいデータを取得でき、乗車・降車・通過人数のすべてが把握できます。

特に評価されているのは、データの出力形式です。「MANALYZE」はダウンロード後すぐに資料に転用できるよう、あらかじめ出力形式が定められたテンプレートが存在します。数回のクリックで、きれいにまとめて出力されるのです。地図上での可視化機能もあり、バス停留所の利用状況が色分けされて一目でわかるようになっています。

▼「MANALYZE」のレポート例


レポートイメージ

-導入後の運用も順調、直感的な操作性が引き継ぎをサポート

導入後の運用は安定しており、担当者の異動時にもスムーズに引き継ぎが行われました。担当者変更時には説明会もあり、直感的に使える操作性が評価されています。現在は2年目に入りましたが、大きなトラブルもなく、順調に活用が続けられています。

■「MANALYZE」は自治体の現状に即した最適な交通施策をサポート

MANALYZE

-今後の展望や、自治体における「MANALYZE」の位置付け、意味など

日野市が直面している少子高齢化や人口減少は、全国の自治体に共通する課題です。同じような課題を抱えている自治体は多いのではないでしょうか。交通では運転手不足という課題もある中、限られたリソースで現状に即した運行計画を検討していく必要があると感じています。こうした複合的な課題に対応するには、従来の経験や勘だけでは限界があります。データに基づく客観的な分析と継続的な検証が重要です。乗降センサーで収集したデータを「MANALYZE」で可視化する仕組みは、こうした課題解決に有効に機能します。「MANALYZE」で蓄積される通年データは客観的な数値に基づく議論を可能にし、議会においても有効な判断材料の一つとしても活用されています。

今後も同市は「MANALYZE」を活用しながら、市民にとって必要な路線を維持しつつ、より効率的な公共交通のあり方を検討して行く方針です。市民一人ひとりがより自分らしく、いきいきと暮らせるまちづくりの実現に向けて、今後もデータを活用した施策検討を進めていきます。

※記載の会社名および製品名は各社の商標または登録商標です。


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●「MANALYZE」は、デジタル庁のデジタルマーケットプレイス(DMP)に登録されています。詳細は こちら をご覧ください。
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● ユニ・トランドが提供する「MANALYZE」の動画説明は こちら をご覧ください。