北海道ニセコエリア3自治体にまたがる「観光×生活MaaS」導入基盤整備事業を受託
~観光業界初‼ 広域観光エリアにおける観光者の移動課題の解決と生活交通のリ・デザイン事業~

2023.02.01

 株式会社ユニリタ(東証スタンダード市場:3800)のグループ会社で移動体通信IoTサービスを手掛ける、株式会社ユニ・トランド(本社:東京都港区、代表取締役社長:高野 元、以下 ユニ・トランド)は、公益社団法人北海道観光振興機構(以下 同機構)から、同機構の令和4年度事業である「ニセコエリアにおける2次交通の動的データの可視化と有効活用(以下 当事業)」を受託し、着手しています。これは、北海道ニセコリゾートエリアにおいて、ユニ・トランドのサービスであるバス情報収集基盤(リアルタイム走行状況・乗降者数データ取得)を活用し利便性を向上するとともにそこから得られるデータを活用し実情に即した路線、ダイヤ、ゾーン運賃導入に向けて分析する取り組みになります。リゾートエリア内の3自治体にまたがる広域エリアの「観光と生活」に関わる交通課題を解決するものであり、観光業界初の取組みでもあります。 

 北海道ニセコエリアは、スノーリゾートを中心として世界的に有名な観光地域として発展をしていますが、外国人FIT(団体旅行やパッケージツアーを利用することなく個人で海外旅行に行くこと。Foreign Independent Tourの頭文字の略)の増加とともに雪道に慣れていない外国人のレンタカー利用や中国人の国際免許などの問題があり、外国人観光客にまつわる交通課題が顕在化してきています。一方、ニセコリゾートエリアには、倶知安町・ニセコ町・蘭越町という3つの町(自治体)がそれぞれ地域交通を保有していますが、各町内のみの公共交通機関であるため、以前より観光客にとっては運行状況がわかりにくく利用しにくい交通手段となっているという課題がありました。

 当事業では、このような観光客向けの交通課題解決に取り組むため、3町と3町を横断して運行している民間バス会社であるニセコバス株式会社様の協力を得て、広域観光エリアの公共交通の利便性の向上による観光促進と生活路線交通の改善の両立を目指しています。
当事業では、まず現在の各交通機関の時刻表の整備(GTFS-JP(※1))を行い、それぞれの交通におけるバス毎のバスロケ情報および乗降データを取得し、現状の交通利用状況の把握と移動分析を実施、利用者の利便性の向上のための提言を行います。また、令和4年度の事業期間中にGTFS-JPを活用して、GoogleMapにおける交通検索の実現だけではなくリアルタイム(バスの位置情報)情報の可視化も行うことで、外国人観光客をはじめ生活者にとってもバス利用の利便性を向上させる事業を展開します。分析結果は、自治体を越えた交通網の策定とそれにともなうゾーン料金設定等の提案のデータとして活用し、世界的リゾートに一層の発展を遂げる可能性を持つニセコエリアの交通インフラとしての「広域エリアにおける観光×生活MaaS」の実現を目指すものです。

【当事業の概要イメージ図】

 ユニ・トランドでは、既に全国各地において、バスにおける公共交通データ整備(GTFS-JP)、バスロケーションサービス、リアルタイム情報発信・乗降データ取集や可視化・分析事業を手掛けており、今回の広域エリアにおける交通課題のための情報収集・分析について、当事業から得たノウハウは日本の地方交通網の考え方自体を変える仕組みに繋がると考えています。また当事業の特徴は3つの自治体とバス事業者が連携して広域で適正な交通を描く取組みに繋がっているという点です。これは国土交通省が発表したリ・デザイン構想(※2)の取り組みを実現する先進的な取組みと考えています。当事業で得た経験とユニ・トランドの保有しているデータ収集・分析基盤をもとに、これまでのユニ・トランドの提供サービスを導入済みのお客様である自治体への提案を展開し、全国の自治体において進めている「地域公共交通計画」の策定・運用と、さらにその先には地方の持続的交通網策定に貢献できるものと考えています。

 

  • ※1:「バス事業者と、経路検索等の情報利用者との情報の受渡しのための共通フォーマット」。国際的に広く利用されている公共交通用データフォーマット「GTFS(General Transit Feed Specification)」を基本に、日本の状況を踏まえて拡張されたものです。GTFS-JP は GTFS とも互換性があるため、Google マップをはじめとした海外の事業者へも情報提供を行うことが可能になっています。
  • ※2:国土交通省では、本年3月に「アフターコロナに向けた地域交通の「リ・デザイン」有識者検討会」を設置し、近年急速に進展するデジタル技術等の実装を進めつつ、①官と民で、②交通事業者間で、③他分野とも、「共創」を推進し、地域交通を持続可能な形で「リ・デザイン」(再構築)するための具体的方策を検討し、本年8月に提言を取りまとめました。